《高畑山》
・「秀麗富嶽十二景」に選定された山
・標高981.9m

世界に名だたる平出和也さんと、なんと一緒に登山ができるという夢の企画に当選し、高畑山に登って参りました。 石井スポーツの1万円購入後に抽選権がもらえるというシステムの登山ツアーです。

集合は鳥沢駅。下車すると右手にきれいなトイレがあり、その前に荷物が置けるようなベンチがあります。
下車すると一人短パンでアスリート体形の方が!本当に平出さんだ・・・とドキドキしてお手洗い等済ませてから心を落ち着けて合流しました。(笑)

石井スポーツで働く登山ガイド資格を有する方がツアーリーダー、他参加者8人と平出さんの計10人です。
ツアーリーダーが先頭を歩き、平出さんは前後に動きながら各参加者と満遍なく交流してくれました。
登りながら雪山登山へのアドバイスをしていただいたり、平出さんの個人的なこと、シスパーレのこと、凍傷のこと、K2のこと、TJARの撮影会など色々な話をうかがう事ができました。
風景がきれいな場所に来ると、平出さんはさささっとあっという間に走って行って、「ここがきれいだから写真撮影にいいですよ」など、率先して教えてくれました。そしてその背景に溶け込む平出さんがかっこよくて、自然と平出撮影会が始まりました。
参加者のカメラ(スマホ)で2ショットを撮ったり、参加者を被写体にして撮影してくれたりと、サービス精神旺盛な方でした。カメラアングルもすばらしく、山岳カメラマンの神髄をみた気がしました。

山頂では彼を囲んで、昼食。自然と質問が飛び交います。
きれいな紅葉を拾ってお弁当に添えてくれたり、山頂標識で一人ずつ写真を撮ってくれたり、もう本当に嬉しい心遣いばかり。道をロストしそうになるとすぐ察知される視野の広さも持っていて、さすがだなと思いました。まさに贅沢な時間を過ごしました。

高畑山は初めて登りましたが、 低山ながらもそれなりの勾配もあり、訪れる方も多過ぎないので静かな山行が楽しめました。秋が深まり、登山口までの住宅街の雰囲気も、のどかで景色もすばらしかったです。

●貴重なお話を忘れたくないので箇条書きにメモします。

★山のこと
・日本の冬山もヒマラヤなど山脈も、持っていくギアは基本は同じ。手袋は羊毛のインナーに、オーバーグローブの2枚、靴下も替えは1枚。
・外国の高山で、登攀中は、ヤマセンボトルを持っていっても途中で荷物を開けたりしないため、水分補給はほぼしない(できない)。そのためヤマセンボトルは2人で1本。
・エアマットはパンクしたら無用の長物になるのでもっていかない。クローズドセル+シュラフのみ。だから結構寒い。いつもケンロー(中島建郎)が体温を求めてくっついてくるため、テント内は狭くなる(笑)。
・K2は挑戦するつもりだが、来年はまだしない。K2は既に踏破されたルートでさえ難しく、未踏ルートは生半可では登れない。数回下見で途中まで登ったが撤退した。それぐらい難しい山。ギアの性能があがり、それを駆使することで昔より挑戦はしやすくなっている。自分たちの後に若い人が後続として挑戦してくれることも願っている。
・サミサールやシスパーレなど、山頂での滞在時間は20分ぐらい。ドローンを飛ばすので、結構忙しい。
・サミサールやシスパーレなどの登山口(ベースキャンプ)となる場所に行くまで、2,3日はかかる。道の状況や町の状況、天候や季節の状況など行ってみないとわからないので、けっこう行き当たりばったりな部分もあり、渡航してから調整することが多い。
・指を凍傷で失った直後は、しばらくは体のバランスが崩れ、電車の急停止の踏ん張りがきかなかった。しかし、「ハセツネ」レースに2回参加したことがあるが、指が短くなった時の方がタイムが速かった(笑)。
※指を失うことは決して(笑)ではないですが、笑って話されていた…。自分の身に起きたことを受け入れることも、一つの大らかさであり、覚悟があったからこそ悔やんでいないのだろうと感じ入った次第。
・海外の高山でも、雪は溶かす水の作り方は同じ。
・下山時にご飯が美味しくて大量に注文して余ると全部ケンローに食べさせるから、いつも彼が太ってしまう(笑)。今度から気をつける。

★他の事
・TJARの撮影受け持ちは、薬師岳から南アルプスの赤石岳~大沢岳辺りまでが範囲。台風のため、NHKから外での撮影を止められ「百間洞山の家」で3日間籠もり、名物のとんかつばかり食べて過ごした。
・TJARでの「望月さんお帰りなさい」は、平出さんの声では?と伺うと「そう」とのこと。一人に対してずっと密着はしない。なぜなら仲間意識が生まれてしまったり、夜間の話し相手として選手がカメラマンを頼ってしまう。それでは不公平になる為。
・(私がW杯を見に行ったことを話すと)ラグビーワールドカップでは横浜のスコットランド戦を見に行った、とのこと。
・初めてのテントは八ヶ岳。
・意外とイスラム教の国々もアルコールを飲んでいる。

★Q&A
・雪山で、テントの下の雪が溶けてぼこぼこになってしまった。対策は?→テントの下にグランドシートを敷いてもあまり効果はない。エアマットを持っていればすぐに敷くなど、体温が雪に伝わらないようにするしかない。
・登頂証明などはどのように行うのか?→その山の国に写真などを提出。
・デジタルツールがない昔は?→色々な質問に答えて、その答えに矛盾などがないかなどで判断し登頂を認めるなどしていた。
・TJARに平出さんが出たら完走できそうじゃないですか?→体力的には完走できそうだが、また別のスキルが求められるのでなんともいえない。彼らもまた凄い人たちだと思います、と大人の対応。
・陸上をやっていたことが高山病にならない心肺機能の強さの秘密?→実は高山病にならないことはない。「なりそうだ」ということを一早く察知している。ケンローはテント張った後はいつもぐったりしているので、ケンローのために水を作り、食事を作り、甲斐甲斐しく世話を焼く。


牧歌的な風景



山の神にお祈り

登山口です

水が枯れていますが貯水池です



平出さんをパパラッチしまくりです


つづら折り、土が柔らかく崩れやすい登山道

かつて小屋があった跡

残念ながら富士山は見えず

素敵な笑顔


抜けるような青い空

もう一つの山頂

後ろ姿もアスリート

素晴らしい木漏れ日で撮影会


穴山峠

北側は薄っすら暗い


分岐です。朝は向かって右に行きました
とちの巨木が一番後ろに見えます