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2020年1月▲大菩薩嶺縦走後に武田信玄ゆかりの寺社へ [▲山梨県の山]

大菩薩嶺の下山時に、雲峰寺という寺に立ち寄りました。

実はここは大変な由緒のある寺で、なんと武田勝頼が「天目山の戦い」で敗れた時に残党が逃げ込んだ寺で、あの「風林火山」の孫氏の旗や、勝頼の書状(最近発見されたものらしい)、そして現存する日本最古の「日の丸」が置いてありました。
日の丸は、天喜4年(1056)に後冷泉天皇から源頼義に下賜された物で、頼義の三男・新羅三郎義光から武田家に代々伝わったものだそうです。武田家は、甲斐源氏といって義光を宗家とした一族なんですね。

樹齢700年の枝垂桜の古樹「峰のサクラ」もあり、4月は参拝者も多いようです。
東京・品川にある「東海寺」は住職の修業時代に関わりのあるお寺打だそうです。東海寺は徳川家光が沢庵宗彭を招聘して開山した由緒ある寺です。
住職の師匠はかつて教皇ヨハネ・パウロ二世が来日したときに手厚く迎えた方だそうで、追従したローマ法王の侍従たちの中には、座禅を組む方もいたそうです。カトリックの中にも教義を極めようとすると座禅(己と向き合うこと)に行きつくことがあり、座禅や瞑想を修行に取り込む方もいるそうです。

●子孫の方との出会い
こちらの寺の蔵でお宝を眺めていると、色々と解説してくれる女性が現れました。
何とそちらの方は武田家の家臣の子孫とのこと。私たちがこの後恵林寺に行く旨を伝えると、なんと車で送ってくれるという有難い申し出!徒歩で向かおうとしていたので、かなりありがたかったです。
その女性と、娘さんご夫婦と同乗して恵林寺へ。娘婿さんは、富士山なら何度も登ったことがあり、一日2回登頂したこともあるそうです。

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●恵林寺
https://erinji.jp/

念願の恵林寺へ、武田家家臣の子孫の方と一緒に入るという、なんとも凄いイベントになってしまいました。
恵林寺は雲峰寺と同じく禅宗である臨済宗の寺で、これが禅宗様とでもいうのか、檜皮葺の黒ずんだ茶色と白い壁が質実剛健な印象を受けます。大きく、静かな寺でした。
巨大な土間を擁した庫裏は、戦時中に東京からの学童疎開150人を受け入れたこともあり、その釜は平時から僧何百人分をも一度に作ることができたとのことです。

この寺は「心頭滅却すれば、火も自ずから涼し」で有名な、快川国師が実際に織田信長の焼き討ちにあった三門が同じ場所に建っています。三門には快川和尚の遺偈が掲げられています。そして快川和尚がいまわの際に弟子に渡した焦げた法衣も宝物館に納められてました。法衣を預かり持ち帰った僧は秩父山中に逃れたそうです。
武田信玄公墓所は月命日のときのみ公開、庫裏から続く明王殿には、「武田不動」として有名な、武田信玄公を写したという等身大の不動明王が安置されていました。長年の煤がまとわりついたのか黒さが際立つ、どっしりとした大らかさを感じる明王様でした。武田家の墓所は月命日のみ公開とのことですが、裏手に回ることができました。背面から墓石を拝謁。
柳沢吉保の墓所は柳沢自身の強い願いにより、転封された奈良の大和郡山からこちらに移されたそうです。

宝物館と庫裏の見学であわせて、さまざまなことを知りました。
・武田24将の掛け軸の中で、裏切った小山田だけいない掛け軸が圧倒的に多いこと。江戸時代前期~後期にかけて、外されたり入れられたりする武将がいたこと。
・花菱は武田の特別な家臣のみが使う。直属の家臣ではないが、甲斐源氏の一族で武川衆の流れを組む柳沢吉保の家紋は、花菱。
・武田の槍は、先に人糞などを塗りつけて、相手を破傷風にさせる。
・赤揃えは甲斐武田氏に仕えた飯富虎昌が最初。武田家遺臣を組み込んだ徳川四天王の井伊直政がそれに倣い、「井伊の赤揃え」といわれた。
・真田家は幸隆のころに武田家家臣だったが、武田家が家康に滅ぼされたことから変遷を経て織田信長→豊臣秀吉と仕える武将を変えるが、赤揃えで夏の陣に臨んだことは有名である。

徳川閉廷後、甲斐は徳川家の息のかかる者が治める領地になりましたが、家康は信玄公にまつわる自社を手厚く保護しています。かつて「三方ヶ原の戦い」で辛酸をなめたことから、信玄公への尊敬の念もあったのでしょうか。

また、宝物館には最近発見された「お江」(織田信長の妹・お市の娘、徳川秀忠の正室・崇源院)の墓石が展示されていました。発見…というかずっとあったのに気が付かなったというのが正しいのでしょう。巨大で重たい墓石はまるでエジプトのミイラのごとく、蓋を開けるのも困難な重たさを感じさせました。

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東京・芝の増上寺から疎開してきた石灯籠。徳川とのつながりを示しています

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帰りは塩山駅近くの食事処、「菊よし」さんで一杯Fotor_157873581530131.jpg


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2020年1月▲奥多摩~大菩薩嶺/1泊2日 [大菩薩嶺]

福ちゃん荘は三が日後も営業していたそうです。「ロッヂ長兵衛」はお休みでした。バスもこないので、裂石まで東から西へ横断するように行きます。冬季通行不可の車道を歩くしかないのかなと思っていたら、ちゃんと登山道がありました。標高の下がるこの地帯のほうが獣の出没頻度が高いらしい。危なくも変哲もない登山道ですが、苔のびっしり生えた丸く磨かれた巨石群を抹茶のお菓子に例えたり、切通に積もった枯葉のプールで遊んだり、ぐにゃりとベッドのように曲がった大木に乗ってみたり、自然を満喫して歩きました。
【持ち物
・着衣…ジオライン極厚、長袖カットソー、フリース、ソフトシェル、+夜にダウン
・寝袋…モンベルダウンハガー800#0
・食事…おでん、ウィンナー、酒、五目ご飯
 
■一日目
 
初日の出には間に合わなかったがご来光を見に大菩薩嶺へ。
奥多摩から大菩薩嶺までは関所抜けの山道で明治初期まで使われていたということで、どうしても牛の寝尾根を歩いてみたかった。
奥多摩は去年の豪雨で役所までの橋が壊れたということで、いつものバスは役所前まで行かず、小管の湯へ回ったので、その一つ前の田元で降りました。しかしこれがとんでもない時間のロスに!
 
なんと登山道がほんのちょっと歩いただけで、車道に出た先で消えていた!あっちをうろうろこっちをうろうろ、どうしてもGPSが示す場所に道がない。しょうがないので車道を登り切ると、個人所有地のような場所に出てしまう・・・。結局、かつて登山道の階段であっただろう石段が三段だけ残っている斜面を見上げると、ところどころ木々にピンクのリボン。どうみても林業の人の目印っぽいなぁと思いつつ、ということは人が登れないことがないはずと思い、斜面を這うように登りきりました。
 
すると、出ました出ました。きれいに整備された登山道が。上には広い作業道と登山道がわかりやすく存在しておりました。運転手さんも気軽に「行ってらっしゃい~」と言って送り出してくれたので、もしかしたら登山口が崩壊していることを知らないのかもしれません。また、私たちが知らないだけで巻き道が用意されていたのかも。なんにせよ30分くらいはロスしました。
 
狩場山を越えると「牛の寝通り」。その後も榧ノ尾山や玉蝶山など小ピークをいくつか越える牛の寝尾根は、穏やかな何の変哲もない山道で、展望もないことから長く単調です。このため、人気がないのも頷けます。
しかし、この日の出会ったのはたったの二人。山を独り占めしているような解放感と静かで穏やかな山行は魅力的で、落ち葉のじゅうたんの音、鳥のさえずりの近さなどは格別です。
 
いよいよ玉蝶山(1700m)を超えた辺りから雪道に。チェーンスパイクを装着しましたが、積雪20センチほどなので慣れている人は必要ないかもしれません。
石丸峠に出ると一気に展望が広がり、富士山が10時の方向にいきなり現れます。思わず感嘆の声が漏れる。
頻繁に猪や鹿の目撃がある「熊沢山」という恐ろしい名前の小ピークを越えると、大菩薩峠。カラスや鹿の鳴き声がほうぼうから聞こえ、一気に夕暮れの哀愁が漂い始めます。風も出てきて気温は-10℃くらいに。夕焼けに染まる富士は雲がかかり、その姿はすっきりとは現れませんでしたが、薄暮の中しばらく甲府盆地と富士を眺めていました。

賽の河原避難小屋に宿泊しましたが、扉が壊れており、半分ほどしか閉まらない鉄板を戸口に立てて冷気をふさぎます。
夜は-15℃ほどに下がり、風も強く軽く雪が降りました。時折外からガサガサ、ガラガラと石が落ちる音も聞こえましたが、風なのか獣なのかはわかりませんでした。


 
■二日目
 
起床4:00。あまりの寒さに寝袋から出れませんでしたが、ご来光を見るためにここまで来たのだ!と自分を鼓舞し、まずは食事。
用意もそこそこに日の出前の06:40。夜が白み始めたと思ったら、直後に見事なブルーモーメント。日の出の直前、白から青が増すこの一瞬がとても不思議。太陽は新雪にまぶしく、思わず万歳三唱を繰り返しました。
 
その後も見事に晴れ渡る眺望。「親知らずの頭」が一番富士が大きく見事に見えます。賽の河原から雷岩までが眺望が良い。軽く新雪が降りつもり、サクサクきらきらと気持ち良い。
雷岩でしばらく展望を眺めた後は、唐松尾根を「福ちゃん荘」へとくだります。徐々に富士が見えなくなるのが寂しい。牛の寝とは打って変わって、登山客の多いこと。ピストンで犬連れの山行も多い。

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福ちゃん荘です。行動食のパンやコーラも売ってました

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